津島毛織工業組合
  ウールの秘密  
ウールは調べれば調べるほど不思議な繊維です。ウールの内部には、多くの矛盾した性質がたくみに調和しながら存在し、その1つ1つが繊維であるための条件となっています。人間が化学繊維を考え出し、ウールを手本として次々とその性質に近づけようとしていますが、ウールの機能全部を兼ね備えたものはまだ出来ません。その神秘には遠く及びません。ウールには不思議な世界があるようです。 秘密はウールの構造にある表
 
秘密はウールの構造にある
ウールは、髪の毛や皮膚と同じ19種類のアミノ酸からなるタンパク質で、皮質部表皮からなっています。大切な皮質部を保護しているのが表皮(スケール)です。表皮はウロコ状になっているため絡み合いやすく、しっかりとした糸ができます。また、「呼吸する繊維」と呼ばれるように表皮は、外気の湿気に応じて湿気を吸収・放出します。しかも、湿気は吸収するが水滴ははじくという矛盾した機能をもっています。
羊イラスト
 
ウールの七不思議
1.水をはじき、湿気を吸収する
ウールの衣服は小雨をはじき、汗をかいてもサラッとしています。これは、ウールの表面の膜が水をはじき、ごく細かい孔が湿気を通すためです。また、スケールも湿気により開閉して湿気の吸収・放出を繰り返しています。
スケール図
 
2.冬暖かく、夏涼しい
縮れ(クリンプ)があるため、ウールは体積の60%もの空気を含みます。この優れた断熱材が外気の暑さ・寒さを遮断します。
3.型くずれしにくい
ウールの衣服は着用後ハンガーに掛けておくだけで元のカタチに戻ります。これは、クリンプがウールに抜群の弾力性を与えているためです。伸長率は30%もあり、引き伸ばしてもすぐに元に戻ります。
 
4.燃えにくい
ウールは火をつけても、すぐに焦げた黒球ができて燃えなくなります。髪の毛などと同じタンパク質でできているからです。
 
5.染めやすく、色落ちしない
アミノ酸が19種類もあるのでどの染料にもなじみ、また吸湿性が高いため染料が充分に浸透します。
 
6.汚れにくい
水をはじくので、汗による汚れがなかなか付着しません。また常に適度な湿気を含んでいるので静電気がおきにくく、ほこりがつきにくい性質があります。
 
7.フェルト化する
衣料やピアノなどに幅広く使われているフェルトです。これはスケールを絡ませて、ウールの目をつまらせ、硬い弾力性をもたせたものです。

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