津島毛織工業組合
  織材一覧  
■アクリル(acrylic) 【繊維】
羊毛に似た性質をもつ合成繊維。軽く柔らかく、湿感があり、美しい色に染まる。ほとんどがステープルで、シルキー繊維として少量のフィラメントがある。毛布、冬物セーターなどに多く使われ、ポリエスエルに次ぐ生産量を占める。ポリアクリロニトリルから現在のような実用的なアクリル繊維がつくられたのは、1950年の米国デュポン社のオーロンが最初である。商標には、エクスラン〈東洋紡績(株)〉、カシミロン〈旭化成(株)〉、ベスロン〈東邦レーヨン(株)〉、ボンネル〈三菱レーヨン(株)〉、トレロン〈東レ(株)〉。フィラメントではピューロン〈旭化成工業(株)〉、シルパロン〈三菱レーヨン(株)〉がある。
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■麻(あさ) 【繊維】
麻の種類は多いが、衣料用だけに絞ると亜麻(英名:フラックス、またはリネン)とちょ麻(苧麻、英名:ラミー)である。ちょ麻はわが国ではからむしといわれる。麻は一般的にさらっとした感触があり、これが涼感につなっがて夏物衣料に最適である。このような認識はリネンよりもラミーの性質からきているものである。すなわち、ラミーは張りと腰があり、肌にべとつかず、絹麻といわれるように上品な光沢があり、特に白度が優れ、水に濡れると乾燥時よりも6割も強さが増すので、多い洗濯回数に耐えるという性質がある。ラミーに対しリネンの性質はやや異なるが、衣料としての性質から見ればラミーの方がより麻らしく感触、涼感の上からもすぐれている。
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■アセテート(acetate) 【繊維】
アセテートは、レーヨンと同じようにパルプを原料としているが、これに酢酸を化学的に結合させて酢酸セルロースとし、これを繊維にしたものである。このセルロースの方が再生繊維の部分で、酢酸の方が合成の部分ということになるため、半合成繊維に分類されている。したっがて、この繊維の性質も植物繊維(セルロース繊維)の性質と、合成繊維の性質の中間的な性質を持っている。さらに、トリアセテートはアセテートより酢化度が高いので、より合成繊維に近い性質を持っていることになる。トリアセテートを含めたアセテートは生産量としては中型の繊維といえる。ただし米国では大量に生産されており、繊維としての比重はわが国における場合よりも高い。トリアセテートの生産は、アセテートに比べるとはるかに少ない。トリアセテートも含めほとんどがフィラメントである。アセテートの断面はクローバの葉のような凹凸のある形をしており、このような点が絹に似た光沢や風合いの一因ともなっている。アセテートは、製品での張り、腰に欠けることなどいろいろな欠点はあるが、この繊維の最大の特徴は絹によく似た優雅な光沢、色調、ソフトな風合いと手触りにあり、昔から「美の繊維」ともいわれていた。トリアセテートは高級なシルキー繊維の一つとして位置付けられている。アセテートの用途は、婦人用衣料の分野が多いが、それ以外にも和服地、裏地、和装小物、夜具地、カーテン地などがある。
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■アンゴラ(angora) 【繊維】
(1)アンゴラ山羊(angora goat)のことで、モヘアはその山羊の毛である。主としてトルコ、南米、北米に生息する。(2)アンゴラ兎(angora rabbit)のこと。アンゴラ・ラビット・ヘアは細い柔らかい下毛(したげ)と、それを保護している太い粗いヘアとがあり、前者は白色、後者は灰色のものがある。軽く、温かで、一般的には羊毛に混ぜて使われる。用途は高級婦人衣料、帽子など。アンゴラ兎の産地はフランス、チェコスロバキア、西ドイツ、日本、中国など。
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■絹(きぬ、silk) 【繊維】
絹は昔から繊維の中で最も美しいものとされており、ヨーロッパでは絹一匁は黄金一匁と交換されたという。絹の原産地は中国で、起源は約5,000年前であるといわれる。絹は綿、羊毛、麻などの他の天然繊維と異なり、連続した長繊維(フィラメント)が主体である。蚕(かいこ)のまゆから繰り取った糸を生糸(きいと)という。生糸は中心部のフィブロインと外周部のセリシンとから構成されている。フィブロインは、絹本来の美しさとしなやかさを持っている繊維状の物質で、セリシンはそれを取り巻いているやや固いにかわ状の物質である。製品にする場合には、精練することによってセリシンを溶かして取り除き、フィブロインだけにするので、柔らかい感触の絹製品になる。この精練を糸の状態で行ってから織物にするか、生糸のままで織物にしてから行うかによって前者を先練り(または糸練り)、後者を後練りという。生糸1本の太さは家蚕で3デニール、これのセシリンが全体の25%ぐらいあり、これを精練によって取り除くと、約1デニールのフィブロインが2本に分離する。使用目的によって硬さを少し残したい場合にはこのセシリンの落とし方を加減し、三分練り、半練り、七分練りなどにする。夏向きの衣料には、しゃり感を持たせるため練りの程度の少ない絹を使い、暖かみやしなやかさ、染色の効果などを出したいときは本練りの絹を使う。まゆ1個からとれる絹の繊維1本の太さは大体2〜3デニールであるが、一般に7個または9個のまゆからあわせて繰り出すので、1本3デニールとして7個の場合は21デニール、9個の場合は27デニールとなる。しかし太さは均一ではないので7個取りのものを21中(中とは大体という意味)、9個取りのものを27中という。薄手の衣料の場合には21中、中以上の厚さの衣料には27中を使うが、最近は厚めの需要が多いため、27中が増えつつある。絹は本来、連続した切れ目のない繊維、すなわちフィラメントであるが、生糸を製造するときにできるくず糸や、くずまゆなどをわたの状態にし、これを紡績して紡績糸も作られている。この糸を絹紡糸という。絹はあらゆる繊維の中で最も優雅でしかも美しい色相に染まり、感性面では非常に優れた繊維であるが、つぎのような欠点がある。(1)経年によって黄変する。(2)日光で脆化しやすい(羊毛より脆化早い)。(3)染色堅牢度が良くない。(4)撥水性がなく、汚れがつき易い。(5)かびははえにくいが、虫には弱い。(6)価格が高い。
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■キュプラ(Cupra) 【繊維】
キュプラはセルロースを銅アンモニア溶液に溶解し、湿式紡糸によって作られた繊維で、キュプラという名称は、銅アンモニアレーヨンすなわちCuprammoniumrayonを短縮したものである。一般には商品名「ベンベルグ」が広く知られている。現在では旭化成工業がこの名称を使って生産している。原料には主としてコットンリンター(Cotton Linter)を使う。コットンリンターは図に示すように綿の種子に生えている短い繊維である。綿の種子から綿の長い繊維、すなわちリントを取り去ると、その根本に生えている短い繊維が残る。これがコットンリンターである。図は左側はまだ長い繊維リントが残っている状態を示し、右側はリントを取り去ってリンターが残った状態を示している。キュプラはレーヨンに比べて細い繊維をつくることができ、断面は円形である。引張り強さ、乾強力に対する湿強力の低下度、磨耗強さ、耐久性ともにレーヨンより優れている。量的に小型の繊維としての位置にとどまっているが、ほとんどがフィラメントで、衣料の裏地に多く使われている。


綿繊維のリントとリッター


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■ナイロン(nylon) 【繊維】
ナイロンとはポリアミド系合成繊維に対する一般名称である。そしてナイロンには、重合している原子の結合状態によってナイロン66(ロクロクと呼ばれる)とナイロン6(ロク)がある。アメリカで工業化されたナイロン66は世界最初の合成繊維であり、今日でもアメリカ、イギリスで生産されているナイロンは主としてナイロン66である。ナイロン6はその後ドイツや日本で生産されたもので、わが国では現在でもナイロン6が主流である。ナイロン66については東レと旭化成がナイロン6と並行して生産している。ナイロンは圧倒的にフィラメントが多く、ステープルは7〜8%に過ぎない。このステープルは、ポリエステルのように主体として使われることはなく、他の繊維(主として毛、綿、レーヨンなど)の補強用として多くても10〜15%、時には3〜5%が混紡される程度に使われる。ナイロンの特長は、最も強い繊維の一つである。比重は1.14で、天然繊維の75%程度、合成繊維の中でも軽い部類にはいる。伸度も大きく、弾力性に富み、しわになりにくく、軽い洗濯でも汚れが落ちやすいという扱いやすさがある。一方柔らかではあるが、反面腰がない、という欠点にもつながっている。耐熱性は、天然繊維に比べて劣るが、合成繊維特有の熱可塑性(熱で形が固定される性質)があるため、熱セットすれば、製品の寸法は安定し、形くずれもしない。ナイロンはアルカリに対しては非常に強いが、酸には弱い。また日光に長時間さらすと黄変するという難点がある。鮮やかな美しい色に染まるのは大きな特長である。ナイロンはポリエステルと比べて耐熱性の低いこと、製品に張り、腰がないことなどのため、現在、衣料分野では外衣、中衣の主流で使われることは少なくなり、スポーツ衣料、ランジェリーなどの婦人用下着、ストッキングなどに限られ、主力は漁網、ロープ、タイヤコード、テグス、帆布、シート、ホースなどの産業用途に向けられている。ナイロン6と66の性能上の差は耐熱性において、後者が優れているが、その他については大差がない。東レ(株)、帝人(株)、東洋紡績(株)、ユニチカ(株)、鐘紡(株)、旭化成工業(株)がナイロン6を、東レ(株)がプロミラン、旭化成工業(株)がレオナの名称でナイロン66を生産している。
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■ポリエステル繊維(ポリエステルせんい、polyester fiber) 【繊維】
合成繊維は、重合前の分子の種類を変えることによって種々の繊維を作ることができる。ポリエステル繊維はわが国では東レ、帝人が最先発で、2社の共同名称「テトロン」で工業生産を始め、その後、順次各社が企業化して現在では8社がポリエステルを生産している。ポリエステルはその優れた性質のため、年々生産量が増加し、ナイロン、アクリルを合わせた量よりも多くなっている。しかし、ナイロンが産業用、アクリルが夜具、インテリア用に多く使われていることを考えると、衣料分野でのポリエステル使用量は、これらの繊維よりも圧倒的に多いといえる。ポリエステルの強みはフィラメントにもステープルにもさほどの欠点がないため、あらゆる天然繊維の分野に進出することができたということである。すなわち、フィラメントは絹の分野で絹と人絹に大きく入れ代わり、ステープルは綿を大幅に侵食し、レーヨン・ステープル、麻との混紡にも適し、羊毛の分野にはやや少ないが、それでも春夏物には徐々に浸透するというように進展した。フィラメントとステープルはほぼ半々に生産されており、標準品種の断面はナイロンと同じく円形である。ポリエステルはナイロンと同じように最も強い繊維の一つであるが、ポリエステルの最も大きな特長は製品にしたときに張り、腰があることと耐熱性がナイロン、アクリルなどよりもはるかに高いことである。そのため、熱セットなどの熱加工がしやすく、製品の洗濯による伸び縮みが少なくてしわになりにくく、イージーケア性に優れている。特に張りと腰があることは日本人の張り、腰、しゃり味を好む傾向に合致しているといえる。吸湿性が特に低く、結晶性がよいので染色性があまりよくないが、分散染料を使い、高温染色(湿熱130℃程度)をするか、キャリアを加えることにより100℃で染色できる。しかし、ナイロンやアクリルの場合のような鮮明な色を出すことは難しく、これが一つの欠点である。耐光性はナイロンよりも優れ、長時間日光にさらしても強度の低下や黄変もない。薬品にも強く、特に耐酸性に優れている。ポリエステル・フィラメントは、その約50%がテクスチャード加工糸となって編、織物に使われる。ステープルは、各種の天然繊維・再生繊維と混紡されて種々の衣料となるが、100%の紡績糸およびその製品は少ない。また、わたの状態でふとんわたとしても多く使用されている。衣料の分野では、紳士、婦人、子供とも外衣、中衣、裏地などすべてのもの、靴下、ネクタイなどの用品、衣料以外のインテリア・寝装品、帆布・ホースなどの産業用、また、人工皮革・人工スエードとして、コート、ジャケットなどあらゆる方面に使われている。
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■綿(めん、cotton) 【繊維】
綿の歴史は古く、紀元前2500年頃から衣料の原料として使われている。繊維の長さは1.5〜4cmで産地や種類により差がある。繊維の形は細くて扁平なリボン状で、断面は直径(リボン状の幅)が12〜28ミクロンぐらいである。1cmの長さに対し60〜160回の自然の撚りが左、右に任意にかかっており、繊維の中は押しつぶされたような中空になっている。天然繊維の中では最も多く使われている。綿の種類は多く、一般的に太くて短いものは下級綿で太い糸しか紡績できず、細くて長いものは細い糸、すなわち高級糸にすることができる。大別するとインド、パキスタン綿は太くて短く、20番手程度の糸、米綿は中程度で40番手、エジプト綿は細くて長く、60番手以上ということになる。しかし近年、品質改良の努力がめざましく、中国、インドなどの一部の地方での高級綿の栽培など、産地、品種とも複雑多様化の様相となってきている。特に最近は、製品の高級化傾向にこたえて原綿も細くて長い、いわゆる超長綿に人気が集中している。
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■羊毛(ようもう、wool) 【繊維】
羊毛は緬羊、すなわち羊(ひつじ)の毛を刈ったものである。もともとは褐色や黒色で、これでは衣料にするには不適当というところから、長年月をかけて交配を繰り返し、やっと19世紀になって白色の羊をつくり出すことに成功した。これがメリノ種である。もともとヨーロッパ、オーストラリアは気候の点で羊の飼育に適していたため、綿よりもはるかに早くヨーロッパで普及した。身体の部位によって繊毛の細いところと太いところがあり、細いところのものが高級糸になる。羊毛は他の繊維に比べて最も保温性にすぐれている。これは羊毛の繊維の表面を覆っている屋根瓦のような「ウロコ(スケール)」があるためと、波状の屈曲(クリンプ)が1cm当たり3〜12あって、糸になった場合に空間が多くできるためである。さらに、羊毛は他のあらゆる繊維の中で最も吸湿性の大きな繊維で、しかも、外からの水は撥(はじ)き、適度の張りがあり、しなやかで風合いがよく暖かいという数々の特徴をもっている。しかし一面、比較的強度が低い、虫に弱い、家庭洗濯には適さずドライクリーニングが必要、などの欠点がある。羊毛の長さ、太さは種類によって大きく異なり、また長さは年1回の剪毛と2回の剪毛によっても異なる。しかし、最も一般的なメリノ種で長さは5〜10cm、太さは18〜23ミクロン(3〜6デニール)ぐらいである。羊毛は長さ、太さに大きな差があるので、これを梳毛、紡毛に分けられている。梳毛は長い細い繊維で細い糸に適し、紡毛は短くて太い繊維で太い糸に適したものである。紡毛は必ずしも下級品ではなく、太くてもツイードのようなざっくりした趣のある製品をつくることができる。羊毛の特徴の一つに縮充性(フェルト化現象)がある。羊毛に石けん(アルカリ)と熱を与えてもむとお互いに繊維がからっまって固まりになる。この性質を利用してフェルト帽子などのフェルト製品や縮充織物が作られる。しかしこの性質は反面、欠点ともなり、家庭洗濯が難しいなどの原因にもなっている。
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毛繊維断面の「スケール」
 
■レーヨン(rayon) 【繊維】
レーヨンの原料は木材パルプである。これからビスコースという粘稠(ねんちょう)な液体にし、これを細い孔のノズルから押し出し、繊維にする。レーヨンが再生繊維というのは原料が植物繊維素すなわちセルロースであり、これを形を変えて再び繊維とすることからきている。1924年に光る糸という意味の「レーヨン」という呼び方が決められた。レーヨンにはフィラメントとステープルがあるが、フィラメントは人絹と呼ばれ、ステープルはスフと呼ばれるのが一般的である。スフとはステープル・ファイバーを略したもので短繊維という意味である。その後、世に出た多くの合成繊維でも短くカットされた繊維はすべてステープル・ファイバーである。ただ、スフという呼び名がはじめて使われたころには人工的につくられた繊維はレーヨンしかなかったためにこのスフという言葉が定着した。したがって、現在ではスフのことは正式にはレーヨン・ステープル、人絹のことはレーヨン・フィラメントと呼ぶべきである。現在では合成繊維も含めた化学繊維に占める生産量の割合では15%程度となっている。またステープルが多く、フィラメントは少ない。レーヨンは一般に吸湿性は綿よりも大きく、強力は綿や絹より弱く、しかも、綿とは逆に湿潤時の強力が乾燥時の50〜65%と著しく低下する。製品にした場合、張り、腰がなくだらっとした感じになる。このように欠点の多いことから、合成繊維に押されることになったが、光沢が強くガラスのように光っていることから、最近、ファッションとしてこの点がもてはやされ人気を博している面もある。一般的に光沢の押さえたものをダル(dull)といい、これに対し、やや光沢のあるものをセミダル、光沢のあるものをブライト(bright)という。
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写真提供:尾張繊維技術センター

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